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銀行マイカーローンの基本から審査まで~銀行員が解説します!

「だから!マイカーローンってなんなの?」

これは、私が銀行窓口で対応したお客様から聞いた言葉です。この人は「車 ローン」でネット検索したところ、情報が多すぎて逆にわからなくなり「マイカーローンってなに?(怒り気味に)」と感じたそうです。

確かにネットは情報が豊富ですが、その反面自分が欲しい答えをうまく探せないときもあります。

そこで今回は、銀行マイカーローンについて銀行員だった私がお話しします。銀行マイカーローンの基本から審査の流れまで、銀行員として長年ローンを扱ってきた経験から参考になるお話しができたらと考えています。車の購入やマイカーローンを考えるとき、この記事をぜひ参考にしてください。

そもそも銀行マイカーローンってなに

はじめに銀行マイカーローンの基本をお話しします。

なお「マイカーローン」「カーローン」「自動車ローン」など呼び方もいろいろありますが、今回は自動車を購入するために銀行から借りるローンという意味の「マイカーローン」で統一します。

銀行マイカーローンは「目的型ローン」

銀行マイカーローンは「目的型ローン」のひとつです。目的型ローンとはお金の使いみち(資金使途といいます)がハッキリしているローンの総称です。

例えば自宅を手に入れる住宅ローン、教育資金の教育ローン、そしてマイカー購入のマイカーローンなど、他にもいろいろありますが共通しているのは「借りたお金を何に使うか決まっている」という点です。

お金の使いみちが決まっていて、3年、5年といった返済期間で分割して返していく目的型ローンは、銀行の個人向け融資の大部分を占めています。 反対にこの目的型ローンと対照的なのがカードローンです。

マイカーローンなどの目的型ローンは、カードローンに比べると低金利になっていますが、その理由は次項で説明します。

目的型ローンとカードローンの違い~マイカーローンが低金利のワケ

目的型ローンは住宅、マイカー以外にも旅行、趣味(カルチャースクール学費、フィギュア購入なども)などもあります。なぜカードローンより金利が低いのか?それには次のような理由があります。

マイカーローン(目的型ローン)がカードローンより金利が低い理由

  1. 反復利用できないから
  2. カードローンよりデフォルト(債務不履行)する人が少ないから

1.反復利用できないから

マイカーローンなどの目的型ローンは、借りたらあとは返済していくだけです。これに対しカードローンは50万円などの限度額の中で、借りたり返したりが自由にできます。

毎月残高が減っていく目的型ローンより、返してもまた借りることができるカードローンのほうが、お金を貸す銀行側から見るとリスクが高いので金利も高く設定されているのです。

2.カードローンよりデフォルトする人が少ないから

マイカーローンのように、自分に必要なものを手に入れる借入なので返済する張り合いもあるのか、目的型ローンでは返せない(返さない)人はあまりいません。

ローンが返せなくなることを銀行側では「デフォルト」と呼びますが、デフォルト率が高いのがカードローンです。反復継続できるからというのが主な原因ですが、上記のように返していく張り合いもあまりないというのも要因のひとつです。

このように融資が確実に減り、しかもデフォルトする人が少ない、つまり銀行から見てリスクが低いので目的型ローンのほうが低金利の設定になっているのです。

ディーラーのマイカーローンと銀行マイカーローンの違い

新車や中古車を自動車メーカー販売店(ディーラー)で購入するとき、ディーラーローンも利用できます。 ディーラーのローンも大きく分けて2種類あり、銀行マイカーローンとはいくつかの違いがあります。

種類 ローンの形態 車の名義(所有者) 融資するのはどこ?
銀行マイカーローン ローン 本人 銀行
ディーラーマイカーローン ローン ディーラー(販売店など) ディーラー系信販会社
残価設定型クレジット リース リース会社(系列会社) リース会社(系列会社)

銀行マイカーローンもディーラーマイカーローンも、ローンという点で内容は同じです。ただし銀行マイカーローンの場合車は本人名義ですが、ディーラーローンではディーラー名義になる、というところが多いです。

そしてローン返済が終わったときに、

  1. 自分の名義にする
  2. その車を下取りとして返却し、新車のディーラーローンを借りる

など選択する形式です。

残価設定型クレジット(残クレ)の場合は、リース会社(系列のリース会社が多い)名義の車を長期間借りる(リース契約)形態で、厳密にはローンと言えないかも知れません。

銀行マイカーローンのほうが、ディーラーローンや残クレより金利が安いのですが、反面審査がきびしい、時間がかかる、手続きがディーラーより複雑などそれぞれにメリットデメリットがあります。

銀行マイカーローンの流れ~申込みから融資が実行されるまで

ここからは、銀行マイカーローンの申込から審査、契約、融資の実行、支払までの流れを説明していきます。

1.申込

銀行マイカーローンの審査は機械化、AI化が進んでいます。原則コンピューターが審査の大部分を処理します。 銀行窓口やダイレクトメール形式で内容を記入したローン申込書をもとに情報を入力すると、コンピューターが融資審査をし、原則はコンピューターが出した結論で融資を決定します。

人の手を介さずコンピューターが審査する形式を「スコアリング審査」など言います。スコアリング審査は目的型ローンやカードローン審査では主流で、現在では住宅ローンなど大型ローンにも導入する銀行が増えています。

ちなみにネット申込の場合、入力した情報がコンピューターに直結しているので経費節減(書類では、入力する人件費がかかる)となるので、書類申込よりネットのほうが低金利になっている銀行もあります。

2.審査

申込の項で説明したように、現在マイカーローンの審査は機械化が進んでいます。機械の審査はYESかNoか、ダメなものはダメと文字通り「機械的」です。

コンピューター審査の基準や内容は融資の極秘事項で詳細は明かせないのですが、概略を言いますと蓄積されている膨大な情報をもとに申込者をスコアリング、つまり「採点」するものです。

採点した結果で融資して良いか判断する(これを与信判断と言います)だけでなく、金利まで決まります。 銀行マイカーローンは金利が2段階(①2.0%と②3.5%)、3段階に設定されているものもありますが、スコアリングの点数が低いほど銀行から見てリスクが高まるので、金利は高くなるという仕組みです。

スコアリング審査の結果は原則そのまま融資判断となります。このように人間が判断しなくなったので、銀行の都合や情実で特別扱いすることも現在ではまずありません。 融資を断わられたのに「そこを何とかしてくれ」と頼んでも結果は変わりませんし、融資結果は郵送やメール(ネット申込の場合)で知らされるだけなので、そもそも頼む込む機会がありません。

またネット記事の一部にある「銀行の決算期は審査が通りやすい」ということもありません。 私の勤務する銀行もスコアリング審査を導入していますが、いつ申込しても結果に差はありません。

また現在は銀行員の個人ノルマにマイカーローンなどはありません。この点でも銀行の事情が左右することがないと言えます。 融資審査は平等、普遍であるべきという大原則があり、スコアリング審査でもそのことは変わりません。

3.契約

銀行マイカーローンはネット申込など、申込から審査までは原則来店不要です。審査が通って契約するときは銀行に行き手続きをするのが一般的です。

最近では複写形式で申込から契約書類まで一度の記入で済む銀行や(審査に通ればそのまま契約書類になる)、ネットで契約可能で最初から最後まで来店不要というものもあります。 来店して手続きする場合でも、契約書類は簡素化されているのでそれほど時間はかかりません。

銀行マイカーローンでは、申込みから審査までは時間がかかりますが、契約時は手間も時間もそれほどかかりません。 ちなみに申込みから融資が実行されるまでは最短でも6営業日(銀行が営業している日)程度です。

契約は本人の来店都合もあるので平均日数は言えませんが、一般的には申込みから融資実行まで2週間程度と考えて良いでしょう。(私の勤務する銀行でも2週間程度が平均値です)

また、審査は最短で即日回答という銀行が多いので、借入可能か?はすぐわかるようになっています。

4.融資実行~車代金の支払

融資金は申込んだ人の口座には入金されずディーラーなどに直接送金するか、口座に入金後即時に振り込みする2パターンがあります。いずれの場合も口座に融資金が留まることはありません。

申込のとき振込依頼書類を一緒に記入して預ける形式もありますし、ネット契約でも振込予約できるようになっており、何度も来店しないで済むシステムになっています。

これはもちろん利便性をセールスポイントに、自社に取り込む戦略ですが、同時に銀行員が顧客折衝や手続きをする手間を減らす目的もあります。

5.ゴール:車が自分のものに

マイカーローンでは支払も銀行に任せているので、銀行の資金使途確認(融資金が目的通り使われたかチェックすること)も同時に終わります。 支払が終われば銀行との付き合いも終わりで、あとは車が来るのを待つだけとなります。

*ごくまれにですが手付金を支払って車が家に来たあとで、残金を借りたいと来る人がいます。私の銀行では原則このようなケースはお断りしています。銀行によって対応は違いますが、車に限らず大きな買い物をするときは、お金の算段をつけてから買うようおすすめします。

まとめ~銀行マイカーローンを最後まで真面目に返済すると良いことがある!

  • 銀行ローンの代表格「目的型ローン」の中でも代表選手
  • カードローンよりリスクが少ないので銀行は低金利にしている
  • ディーラーローンよりは低金利       
  • 申込みから借り入れまで手続きは簡素化されている   
  • しかしディーラーローンに比べると、審査が厳しくディーラーよりは手続きが面倒

以上、これまでお話ししてきた銀行マイカーローンについてまとめました。

金利面だけを見れば銀行マイカーローンのほうが有利ですが、アフターサービスなどを考えた場合、どちらが良いかカンタンには決められません。やはり最終的には自分にあったローンを選ぶことをおすすめします。

そして、銀行マイカーローン、ディーラーのローンどちらにも当てはまるメリットをひとつ、最後にお話しします。 それは「マイカーローンを真面目に返済すると良いことがある」ということです。

マイカーローンが人生で初めての借金と言う人も結構多いと思いますが、マイカーローンを借りたあと真面目に最後まで返すと、そのことが信用情報(個人信用情報)に記録されます。

(補足情報)信用情報・クレヒスについて

信用情報とは、ローンやクレジットの契約内容から返済の履歴まで記録された個人情報のことです。銀行や信販会社では融資審査で必ずチェックします。

信用情報に延滞など「異動」(金融事故)があるといわゆる「ブラック」と呼ばれ原則審査落ちになります。また、借り入れするのが初めてで信用情報に何も記録がないいわゆる「ホワイト」も、実は自己破産した人と区別が付かない場合があるので、こちらも審査落ちになることがあります。 信用情報の返済履歴を「クレジットヒストリー」略して「クレヒス」と呼びますが、適度に借り入れの経験があり、しかも真面目に返済していた記録(クレヒス)が残っていると審査では有利になります。

ネットでは「クレヒス修行」といって、クレジットのキャッシングやカードローンを少しだけ借りてキチンと返済することで「良いクレヒスを作りましょう!」という記事を見かけます。

キャッシングや借り入れを修行と呼ぶのは銀行員として賛同できませんし、いくら修行のためでも不要な借金をするのはおすすめできません。 と、ここまで呼んで気づかれた人がいるかも知れませんが、マイカーローンを借りて真面目に返すだけで「良いクレヒス」を作ることができるのです。 自動車はマイホームと並んで生活に欠かせないものなので、購入するためのローンは「借財」(遊興費など生活に必要とは見なせない借り入れを銀行ではこう呼びます)とは見られません。

しかも、真面目に最後まで返済したという記録は「私は融資を受けても必ず最後まで返済できる真面目な人間です」と証明することになるのです。 銀行マイカーローンを真面目に返して、将来住宅ローンを借り返済していく基礎体力作りにしてください。

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